海上自衛隊の防弾盾の一般競争入札

2009年1月30日付けで海上自衛隊からある一般競争入札の公告が出されました。

■ 入札公告 掲示第41号(21.1.30)  「 防弾盾,3型 」 (PDF)
( 参考 ) 海上自衛隊 入札公告 ホームページ

これは海上自衛隊のホームページに入札が行われる前日の2月4日までUPされれていたものですから、ここで再度見れるようにさせていただきましても特に問題は無いかと思います。さて、これからいくつかわかることがあります。

「 競争入札に付する事項 」 の件名に、「 防弾盾,3型 」 と明記されています。
この3型というのは、「 NIJレベルV 」 を意味するものです。
このような数字で呼称して、防弾の性能を表現しうる規格なり、製品名なり、慣習なりのいずれの面から見ても、NIJレベルを意味する以外のものが存在しないからです。すなわち海上自衛隊は、NIJ脅威レベルVの銃弾を防御できる防弾盾を調達しようとしています。 ( 海上自衛隊がNIJレベルに言及した表現を使用したのはこれが初めてではないかと思います )
そして、履行場所 ( 納品場所 ) は、呉造修補給所です。
納期は2月27日になっています。

ところで、この公告の日付の二日前にソマリア海域へ海賊対処の船団護衛部隊を派遣する法案が可決されました。
現地へ向かう護衛艦2隻は、公告にある履行場所の呉を定係港としています。
部隊の出発は3月上〜中旬といわれています。(2009年3月14日出港)

ここまでデータを付き合わせると、今回の海上自衛隊の 「 防弾盾,3型 」 の調達は、多分ソマリア海域派遣部隊のための準備の一環であろうということは常識的に想像できるはずです。


追記:ソマリアへの派遣部隊の出発前にこの防弾盾は前甲板に並べて取材用に公開されていたそうです。別に大げさな推測をするまでもありませんでした。さて、ソマリアへ行く部隊は 「 NIJレベルV 」 の防弾盾を装備していることは公知になっていることになります。ただし問題は 「 NIJレベルV 」 というカテゴリーは極めて幅が広く、防弾技術を扱う場合 「 レベルV 」 をさらに
「 NIJレベルV 」 「 NIJレベルV+ 」 「 NIJレベルV++ 」 「 NIJレベルV+++ 」といった具合に細分化してそれぞれに対応する装備の能力を評価しています。世界的な認識では、AK-47で発射されるFMJ・MSC弾をNIJ0108.01に準拠して距離15mで耐弾するのは、「 NIJレベルV++ 」 以上の性能が必須だとされています。ただしこのレベル分けの数値的根拠ははっきりしていないようです。国やメーカーによってもこのレベル分けの認識が微妙にずれているように思われます。

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