海上自衛隊の防弾装備のレベル

海上自衛隊が装備している防弾装備の能力がどのレベルにあるかということは、重要な軍事情報ですので開示されていません。ただし、前のページのように2009年1月30日付けの入札公告では 「 防弾盾、3型 」 とはっきり示されていますので、防弾装備の性能は 「 NIJ 脅威レベルV 」 の武器に対抗しえる装備を所有したいという意図がわかります。
レベルV、すなわち、ライフル銃弾の脅威に対抗できる装備を備えようとしています。
そしてこれは秘密にするまでもなく、極めてあたりまえのことです。

ところで、 「 NIJ脅威レベルV対応 」 とはいいましても、メーカーや業者が納品したものが本当にレベルVなのでしょうか?・・・・・という疑念が出てきます。

アメリカの場合ですと、詳細な実射試験結果とそれを踏まえた耐弾証明書、さらにNIJの認定証等が製品と同時に提出されます。
なによりもコンプライアンスは最優先事項として位置づけられています。
ところが日本はといいますと、現役自衛官から聞いた話ですが、某メーカーに対して防衛省へ納品している防弾製品の性能のデーターと耐弾証明書を提出して欲しいと依頼したら、 「 企業秘密ですから出せません!」 という回答だったそうです。
実弾を撃ち込まれるかも知れない現場のユーザーに対して耐弾性能が企業秘密・・・・?
また2007年秋、私自身がある会議に同席していたときのことですが、現役自衛官が某メーカーの 「防弾盾」 のカタログを見て、
「 この盾の性能は確かトカレフ対応だったはずなのに、いつの間にAK47対応に変わったんだろう?」 というのがありました。
厳密な数値の根拠はありませんが、「 AK47+FMJ・MSC 」 の銃弾は、「 トカレフ+FMJ・MSC 」 の10倍ぐらいの脅威と思っていいでしょう。
この某メーカーは本当に画期的な技術革新の末、新製品を開発したのかもしれません。でもカタログ紙面上の製品の写真は以前のスペックのときから変化していないようだということでした。

海上自衛隊の防弾装備の現状がどうあれ、銃撃戦のときは
「 相手から見えないように物陰に隠れること 」
「 より堅固なものの背後に移動して身を潜めること 」
「 どんなに低い性能であろうとも防弾ベストは着ないより着たほうがましであること 」
などを理解していることを望みます。どんなに高性能の防弾ベストを着ていても、それは最初の一撃から兵士の生命を守る重要かつ守備的な装備であって、無敵になれる積極的な武器ではないのです。
ちなみにロケット弾やミサイルに対する防御は防弾技術とはまったく別の次元のものですので、勘違いしてはいけません。

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