一般鋼材の防弾性能

AK47ライフル+FMJ・MSC弾の場合、僅か8グラム程度の重量の銃弾でも6mmの厚さのニッケルクロムモリブテン鋼というを特殊な目的のための鋼鉄板でも貫通してしまうことは「護衛艦の防弾性能」のところで紹介しました。
ところで、テレビや映画で見る刑事ドラマなどで、車のドアを盾にして銃撃戦を行っているシーンがあります。
何も加工していない車のドアは、防弾の役に立つのでしょうか?
防衛大学校の大野教授が学校内にある実験射場で試してみたそうです。(「世界一受けたい授業」放送映像収録用)
結論は、拳銃の9mmの通常弾で車のドア1枚は簡単に貫通したそうです。ですから何の加工もしていないドアは防弾盾の代わりにはなりません。ただしドアの内部に窓ガラスやそれらの駆動装置のような質量のまとまった硬質の部位があると、そこに限って耐弾する場合があるそうです。そしてドア2枚を重ねた場合はどうかというと、1枚目のドアを貫通し2枚目のドアの鉄板表面に貫入して停止したそうです。ドア2枚ならば拳銃の銃弾程度に対して耐弾機能が発生するということになります。すなわち、拳銃弾レベルなら一般車両のあちら側からこちら側へ抜けることは阻止できるようです。
それではライフル弾だとどうでしょうか?件銃弾と違って車のドア数枚は簡単に抜けてしまうでしょう。でも車には左右合わせても2枚のドアしかないのですから実際に3枚以上重ねて行う実験に意味があるとも思えません。そこで代わりに実施されたのは厚さ5mmの鉄板(造船用一般鋼材)に実弾を打ち込んだ場合はどうなるかということでした。実験結果の写真を撮影させてもらいましたのでご紹介します。
一般船舶の船体に使用されている程度の鋼板の場合でも、64式小銃の鉛弾で簡単に貫通してしまうのですから、海賊から身を守るというのはなかなか困難であることがわかります。

■ 実弾射撃実験(厚さ:5mm鉄板・一般鋼材) PDF 1ページ 242kb


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