NIJ 0101.06 日本語対訳版

 2000年9月に制定されたBallistic Resistance of Personal Body Armor N I J Standard–0101.04 は、2008年にN I J 0101.06 へバージョンアップされました。
 その背景は、トーヨーボー製の繊維「ザイロン」により作製されていたボディアーマー ( 防弾ベスト ) の欠陥による警察官の死亡事故に起因します。
 ザイロンの欠陥の可能性が明らかになってきた段階で、NIJ ( アメリカ司法省研究所 ) はザイロン製のものにとどまらず、それまで認可した全ての製品や材料を再検査するという遠大な国家プロジェクトを発動しました。その検証作業により、ザイロンのみに品質低下が発生しているという結論に達しています。
 その検証結果に基づき、アメリカ政府は2007年にトーヨーボーを不当利得と詐欺罪で提訴しました。一国の政府が海外の一企業を訴えるということ自体かなり異例なように思われますが、人の命を護るための装備に関する品質保証というのはそれほどまでに重要なことなのです。
 ただしN I J は企業を一方的に責めているわけでもありません。N I J はその検証段階で製品や素材の経年劣化 ( 使用に伴う強度低下や加水分解による変質等 ) をチェックする手順等に関して考慮されていなかったことは改善を要すると言及しています。
 その所見に基づき、ボディアーマーの耐弾試験の要領を試験体に対する単純な実射試験に終わらせず、新品状態と10年分に相当する経年変化状態の二つの状態に対して実射試験を行い、双方の状態で耐弾しなければならないという極めて過酷な試験要領と条件に変更しました。
それが、N I J 0101.04 から N I J 0101.06 への変更の経緯です。


N I J 0101.06 の日本語対訳版は、耐弾技術に関わる関係者へのみに提供しています。
詳しくはメイルにてお問い合わせください。

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