NIJ 脅威レベル ( 銃弾の脅威度のランク付け )

NIJ ( アメリカ司法省研究所 ) では、アメリカ国内で一般的に入手できる銃と銃弾の組合せにより現出される威力を体系的に分けて評価しています。NIJ 0108.01 / NIJ0101.06 のいずれの基準でも、 「 Performance Requirements 」 ( 試験銃弾の要求仕様 ) としか表現されていないのですが、それはそのまま殺傷力の大きさの評価手段になっています。
評価区分の概要は、威力の小さなピストルから発射された銃弾、威力の大きなピストルから発射された銃弾、ライフル銃から発射された銃弾、ライフル銃から発射された徹甲弾といった具合に分けられているようです。
そして、その分け方にそれぞれ、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳといったレベル番号が付けられています。
発射母体の銃火器は規定されていず、銃弾の種類と速度の高低の組み合わせのみで、その威力を表現しています。

さて頭部もしくは内臓の部位に銃弾をうけると、どのようなレベルの銃弾であっても人間はほぼ死亡してしいます。
余談ですがテレビや映画で観るような、撃たれた当人が印象的なフレーズを口にしてから息を引き取るのは、せいぜいレベルⅠのピストルでしょう。レベルⅡになると殺傷力が大きくなりそのような悠長な時間はないはずです。レベルⅢはライフル銃ですから殺傷力はピストルの比ではありません。レベルⅣになると人間は原型をとどめられません。イラクで戦死した兵士の検死解剖写真(非公開資料)をとあるところで見せていただきましたが、人体が文字通り破裂して粉々になってしまっていました。本物の戦場というのがいかに危険で、いったん被弾してしまうと取り返しのつかない悲惨な状態になってしまうことがよくわかりました。

さてレベルの違いを簡単な例にしてみましたが、実際にはⅠとⅡとの殺傷力の開きが大きいため、間にⅡ-Aというレベルがあります。同じく、ⅡとⅢも差が大きいため、間にⅢ-Aというレベルが設定されていいます。
これらが 「 NIJ脅威レベル 」 になります。
この NIJ の手法によってある防弾素材あるいはボディアーマーに実射試験を行って、例えばレベルⅡの威力の銃弾を止めたとしますと、その製品は 「NIJ 脅威レベル Ⅱ 対応 」 とか 「 NIJ Ⅱ対応 」 といったような表現をします。

この NIJ 脅威レベルは、銃と銃弾の組合せで決まります。どうしても発射母体の銃に目が行きがちですが、使用される銃弾のスペックによってその殺傷力は何倍にも違ってくることを関係者は熟知しておかないと、前線の兵士の命を守ることは不可能です。
例えば、AK-47 カラシニコフ から発射されるFMJ・LC弾 ( フルメタルジャケット・リードコア = 鉛弾 ) とFMJ・MSC弾( フルメタルジャケット・マイルドスチールコア = 軟鉄弾 ) では、同じような重量の銃弾が同じような速度で飛んでくるのですが、着弾したときの殺傷力はFMJ・MSCのほうがはるかに大きくて、その差は想像を超えるものがあります。

NIJ脅威レベルは、NIJ0108.01 及び NIJ0101.06 の中にそれぞれ表で示されています。
理由は分かりませんが、弾種に関して二つのスタンダードには若干の違いがあります。
詳細は原文もしくは対訳文を参照してください。
加えて、この脅威レベルを測定する試験装置に関しても二つのスタンダードの中に図で示されています。
装置の構成に関しても、理由は分かりませんが若干の違いがあります。
詳細は原文もしくは対訳文を参照してください。


■ HOME