防弾に関するJIS規格

銃弾の脅威の評価や、ある脅威レベルの銃弾を阻止する防弾素材の試験方法などといった内容のJIS規格 (日本工業規格 ) は存在しないようです。
多分、大きな衝撃に関する測定や評価に類するものはあるのでしょうが、銃弾という極めて限られた領域に関する脅威評価や防弾素材の性能評価に関しては、当面はアメリカの 「 NIJ Standard 」 を使わせてもらうしかないようです。
とはいいながら、NIJレベルを自衛隊が適用することは充分なメリットがあります。
日本とアメリカとは同盟関係にありますが、その米軍との合同オペレーションを行わなければならない状況下では、双方の部隊の防弾能力 「 NIJ レベル ○ 」 も戦術上の一要素として問われるからです。
多分米軍は 「 NIJ V ++」 以上を標準としていると予想されますが、合同オペレーションの現場に派遣されている自衛隊の装備が、例えば 「 NIJ V 」 どまりだとした場合、同じ場所での合同オペレーションは成立しません。
というのは、米軍が布陣しようとしているラインから数百メートル後方に自衛隊の部隊を配置しないといけないからです。
その理由は、防弾装備の貧弱な部隊をラインに横並びに配置してしまうと、そこが戦略上もしくは戦術上のウィークポイント ( 決壊箇所 ) になってしまうからです。防弾能力の低い部隊に最前線の重要な一角を任すことは、当然のことながらできません。
銃火器の性能だけではなく、部隊の防弾能力も同盟軍と同等にしないかぎり、合同オペレーションには参加させてもらえないか、装備相応の後方作業しかやらせてもらえないのです。
JIS規格とは関係ない話になってしまいました。
戦場を想定した工業規格は日本にはなかなか生まれないと思います。
反面、アメリカは人口の何倍かの数の銃が一般社会に存在しているわけですから日本とは背景が違いすぎます。
ある意味JIS規格に防弾に関する項目がないのは、日本社会の平和さを体現しているのかもしれません。
それにしては、不法銃の事件の報道を良く聞きますよね。

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